養生ブログ by食医の卵

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『ターニングポイント』

No.136
著者 フリッチョフ・カプラ
訳者 吉福伸逸 田中三彦 上野圭一 菅靖彦


2014年8月に読みました。著者は物理学者です。これは1984年に翻訳されて日本に出回った本です。1995年に新版が出ていますが原作を読みました。
原作は741ページ、新作は330ページ、読み終えるのに苦労しました。


情報量も大変多いのですが、1回でまとめます。


<著者の主張>

1.これまでの時代は、デカルト的世界観とニュートン力学を基盤としてきた。

2.しかし、科学・経済・医療など様々な分野でこれでは対処できない問題が生じている。

3.相対性理論・量子論に対応する新しい世界観が必要である。

4.これからは3.に移り変わる「ターニングポイント」の期間である。



<解説&感想等>

参考文献として、これまで紹介した本が載っていました。これらの本を私は既に読んでいたので、量の割には苦労せずに読めましたね。12章構成で4つに大別されております。後ろ4つの章が今後に対する著者の考えの部分ですね。

原著が出版されてから30年以上経っているので、時代遅れと感じる部分もありました。一方、30年経っても中々進んでいないなぁと感じた部分もありました。

進んだ部分はまず、【医療】だと感じています。日本でもアメリカでも代替医療や東洋医学はかなり認知されていると思います。また、ヨガや太極拳、ピラティスなど身体に働きかける活動も盛んになっている気がします。

ただこれは、医学・生物学が物理学同様に新たな世界観を確立して広がって行ったのではなく、“癒し”が時代に求められており、そこにビジネスが上手く入り込んだのだと思います。
だから、根本の所が変わっていないため、ドラスティックな変化はまだ先になると思います。
P192に、 「25年以内に新しい生物学の概念的基盤が必要」
とありましたが、叶わなかったと感じています。しかしながら、この時代にはまだ未知であった、DNAの解析を終え、幹細胞の発見、そして再生医療へという流れは相当な進展だど思います。

だからこそ、余計に現実世界と科学技術の乖離が進んでしまったことによる弊害が表れている気もします。難しいですね。


健康に関する記述では、『動的平衡』について述べていたものの、この言葉は記載されておりませんでした。
栄養学に言及すると、ビタミン欠乏の解決はデカルト的世界観ですね。この功績は素晴らしいモノです。しかし、現代の生活習慣病には、うまく対応できない概念モデルですね。同様に、肥満とやせ・食品ロスと食糧不足など、現代の栄養問題であるDBM(Double Burden Malnutrition)にも適応範囲外だと思います。


心理学も進んだと思います。この本では、フロイト・ユング・ロジャーズは登場しても『認知行動療法』の話は出てきませんでした。新しい世界観は、認知行動療法(特に第三世代)とよくフィットすると思います。


逆に、最も進んでいないのは【経済】かなぁと思いました。

なんといったって、経済は未だに「無差別の成長」を原則としております。資本主義発展の条件は、資源が豊かで人口が少ないことと書いてありました。これは、最近の経済書でも似たようなことが述べられていますね。

個人的には、もう前提がおかしいことは明らかなのに、まだ「成長戦略」とか「経済成長」という言葉を耳にしますよね。成長戦略が描けないなんて当たり前だと思っています。

早くターニングポイントを通過して、経済第一というお金の物差しではなく、生物とは?人間とは?という物差しで社会を作り直す時代が到来してほしいと思います。


<キーワード>
相対性理論 デカルト ニュートン エントロピー

<関連文献>
『エントロピーの経済学―もうひとつの未来を創る』(ダイヤモンド社) 『脱病院化社会』 『アクエリアン革命』 『健康という幻想』






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『沈黙の春』

No.132
著者 レイチェル・カーソン
訳  青樹簗一

2014年6月に読みました。
この本は有名ですよね。中学校の社会科で習ったような気がします。

著者がこの『サイレント・スプリング』を書いたのは1962年だそうです。そして1964年には日本で訳本が出たようです。その時の題名は『生と死の妙薬』でした。沈黙の春の方が、覚えやすくていいですね。

春は生命の息吹の季節ですよね。冬が終わり、植物も昆虫も動物も動き出す時期です。だからそこには躍動感や生きている音を想像することができると思います。そんな「始まり」を感じられる春が、来ない!! 冬眠明けの動物、新芽、孵化が見られない。太陽の光だけが冬の終わりを告げ、春が来たことを教えている・・・そんな光景を言葉にしたものです。

自然に何が起こったのか?原因は何なのか?

それは、人間が撒いた化学薬品でした。人間が自分たちの都合のいいように自然をコントロールしようとした結果でした。
そして、「沈黙の春」は今年だけでなく、来年も、再来年も続いて行きました。

内容のコアの部分はこんな感じだと思います。


<著者の主張>

1.化学薬品は自然の秩序を破壊してしまう。

2.化学薬品の被害は最終的に人間へ降り注ぐ。

3.化学的コントロールを生物学的コントロールに切り替えよ。



<解説&感想等>

 この本は、自然破壊に警告を発した先駆書だと言われています。だから学校でも習うのでしょうね。そのおかげで、化学薬品の恐ろしさも、生態濃縮のことも既知でした。
 最近では「生物多様性」という言葉を耳にしますね。私が10代の時はあまり聞かなかったように思います。地球上の生物は近年、毎年4万以上の生物種が絶滅しているとか!!恐ろしいことです。

この本で何度も繰り返されているとおり、自然は絶妙なバランスを保っています。だから、ある生物を化学薬品で叩くと、それに捕食されていた生物が激増し別の被害が発生します。生物多様性が失われると、このようなことが起こっていくというとが想像できます。
日本に関係する話ですと、最近ニホンウナギがレッドリストに登録されてましたね。私が小さい頃は「トキ」の話がありました。
日本産のトキが絶滅した一因には有機水銀があるそうです。これは化学薬品→生態濃縮が関係しています。有機水銀といえば水俣病(四大公害病)が有名ですね。
なお、水銀は胎児に対する悪影響が懸念されているため、妊婦の魚介類摂取には配慮すべきとなっております。日本人の水銀摂取の80%以上は魚介類由来だそうです。厚労省は水銀摂取のリスクを減らしつつ、魚介類摂取のメリットをと言いますが、まさに二律背反でしょう。

これが2.の最終的に人間へ被害が返ってくるという典型例だと思います。

だから、化学(人間の力)で自然を支配するのではなく、自然の秩序で行われていることを利用しようということになります。
結局、自然を支配できるという発想自体が間違っており、人間も地球上の動物の1種に過ぎないということを自覚するべきです。
これは私的な考え方ですが、捕食されない人間にも天敵がいます。何だかわかりますか?これは厳密には生物ではありません。



正解は「ウィルス」です。

人間があまりに地球を破壊した時、生物多様性が失われ、ウィルスがパンデミックを起し、人間を激減させる。そして地球はかつての秩序回復に向かっていく・・・。
一見映画のようですが、まんざらでもないと思っています。
ウィルスでなければ自然災害。大雨なら、ノアの方舟でしょうか(笑)




<キーワード>
化学薬品 生態濃縮 生物多様性

<関連文献>
『複合汚染』(新潮社) 『奪われし未来』(翔泳社) 『ハチはなぜ大量死したのか』(文藝春秋)




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『正しく知る糖質制限食』②

続きです。

前回著者の主張を書きましたので、今回は私がこの本から学んで主張したいことを中心に記したいと思います。


・ケトン体について

ケトン体について学んだことです。
糖尿病治療において、ケトン体の発生は悪とされてきました。
ポイントは“細胞が飢餓状態かどうか”ということのようです。従来のケトアシドーシスになるのは細胞が飢餓状態(=エネルギー代謝に異常をきたしている)、糖質制限はケトン体が積極的に利用され細胞は飢餓ではない(=代謝は正常。経路が違うだけ。)。断食も同じですね。
ただし、ケトン体の安全性は別です!!


・食欲について
糖質を制限すると、食欲に関するホルモンを介して、食欲が減るそうです。このため、脂質の摂取をフリーにしても実際はそれほど摂取エネルギーは増えず、むしろ減る(人が多い)そうです。


・縄文人の食事について
これまでの糖質制限論者は、縄文時代は糖質を食べていなかった、人の食性は骨髄だとの主張が多いですが、実際はそうでは無かったようです。以前もドングリピットを紹介しましたね。


・体重について
メタボという言葉が認知されるようになり、太っていることは悪のようになりましたが、これもここにきて大きな転換点が来ております。痩せている方がリスクが高いことが確実になってきました。こと高齢者に関しては小太りでも問題ありません。来年度から運用される食事摂取基準2015も高齢者の痩せ防止に舵を切っております。


・ローカーボ食が上手くいく人とそうでない人について
このようなことが載っているのがいいですね。
上手くいく人の中に、“飲酒習慣のある人”という方があります。厳しい糖質制限に賛同し糖質ゼロが正しいと信じて疑わない人の多くはこのタイプではないかと思います。以前から続けられる人は男性の方が多いと思っていたのもこれが理由です。実証タイプ、猛烈サラリーマンタイプです。スイーツは油脂が多いものの糖質を必ず含んでいるので、酒もたばこもない女性に継続は厳しいと思っていました。著者らは男女差の考察はしておりません。
また、別の項ではありますが、ローカーボ食はお金がかかることがしっかりかかれております。大事なことですね。


・死亡リスクについて
死亡リスクを上げる因子として動物性たんぱく質が挙げられております。なかでも赤肉とその加工食品(ハム・ソーセージなど)が明確に書かれております。一方、植物性脂質・植物性タンパク質は問題ないとされております。
アニマルプロテインを避けた方がいいという伝統食の教えが科学的に立証されるときが来そうです。そうするとまさにドイツ由来の栄養学の大転換が起こるかもしれないと、本の主旨とは別の方向へ頭が進んでしまいました(笑)



以上、手にとって自分の目で確かめて頂きたいと思います。


<キーワード>
動物性蛋白質 脂質 お金

<関連文献>
『世にも恐ろしい「糖質制限食ダイエット」』(講談社) 『縄文人になる! 縄文式生活技術教本』(山と渓谷社) 『ケトン食の基礎から実践まで―ケトン食に関わるすべての方へ』(診断と治療社)






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『正しく知る糖質制限食』

No.131
編著 NPO法人日本ローカーボ食研究会→→“ホームページ”


2014年5月に読みました。
2014年度で一番印象に残る本になる気がしています。また、この本が普及することによって、2010年から私も注視していた糖質制限食論争が終わっていくと思います。そのくらい良い本でした。

伝えたいことが多いので2回に分けたいと思います。

なおこの本は、一般向けの本として書かれておりますが、論文の引用をはじめ、医療関係者のための学術書としても十分な内容となっております。私自身読んでとても納得できました。


まず、私が非常に大切だと感じていることを書きます。

著者らは、「死亡の危険が減るかどうか」ということを最優先の評価基準としております。
“No.59”で、 「糖尿病治療のエンドポイントは健康寿命の延長です。」という言葉を引用しましたように、糖尿病治療は血糖コントロールが全てではありません。この部分を読んだ時、これまでの糖質制限推奨論者とは違うと感じましたね。


<著者らの主張>

1.糖質制限食で体重・中性脂肪・血糖値が下がりHDL-Cが上がる。

2.糖質制限食は1CARD程度がよい。

3.過度の糖質制限食は死亡危険度等を上げる。



<補足・解説等>

1.については、従来の糖質制限食と同じなので省きます。


2.を理解するために、著者らの推奨するローカーボ食について説明します。

著者らは2通りの方法でローカーボ食[CARD(low-carbohydrate diet)]を採用しているとのことです。

①毎日の3食の食事のうちの糖質をできる限り抜く方法。 (1食制限=1CARDと表現されています)
②毎食、少しずつの炭水化物の摂取量を減らす方法。

①は「3CARD」が最も厳しく、これがこれまでの糖質制限論者の勧めていた食事に近いものとなります。
しかし著者らは3CARDではなく、1CARDを勧めており、厳しい制限は重度の糖尿病患者さんに対してのみ、それも短期間行うこととしております。さらに、症状(ヘモグロビンA1c)が改善したら制限を緩めていくという方針です。

また、糖質の替わりに脂質を摂るということをはっきり主張しております。糖質食べなきゃ他は何でもOKという訳ではありません。

いかがでしょうか?推奨する食事も方針も穏やかですよね!
ただしその理由は、患者の実施可能性などではなく、3.によるものです。

3.に関しては漸くエビデンスが揃ってきたと言えるのかもしれません。
実は治療法の後にエビデンスが揃うというのは大変稀なケースです。まぁ当然ですよね。

薬の研究でも何でもまず、細胞やマウスなど人間以外で試してみてから(基礎研究)、人間で恐る恐る試し(臨床研究)、問題なさそうならその治療法採用や薬の認可となります。それでも後になって危険性がわかったりするものもあります(薬害の歴史)。

著者らのホームページにも書いてありましたが、この食事法は基礎研究の報告が極めて少なく臨床報告がほとんどだということです。これが民間療法として広まっていったことを物語っています。
悲しい歴史の被害者が増えないでほしいと強く望みます。


(続く)


<キーワード>
糖質制限 死亡 血糖値 体重

<関連文献>
『米と糖尿病』  『本当は怖い「糖質制限」』(祥伝社) 『炭水化物が人類を滅ぼす 糖質制限からみた生命の科学』(光文社)








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『腸内細菌の話』

No.128
著者 光岡知足


2014年3月に読みました。
光岡先生は腸内細菌学のパイオニアなので御存知の方は多いかと思います。→→Wikipedia光岡知足

この本は昭和53年に出版されました。著者は理化学研究所に勤めていらっしゃったのですね。この本を読んでいるときが丁度「STAP細胞」であれこれ盛り上がっている時だったので、つい目に留まってしまいました。ノーベル賞のような画期的な研究よりもこのような素地を作るような研究の方が、長く多くの人にとって有用なのではないかなぁ…なんて考えていました。

腸内細菌の研究は当時に比べてかなり進展したと思います。それでもこの本から初期の話を知ることは意味があると思います。


<著者の主張>

1.腸内細菌は宿主(ヒト)に様々な影響を与えている。

2.腸内細菌は民族差、個体差が様々である。

3.腸内細菌叢は加齢と共に変化していく。

  腸内細菌
[有名な図なのでネット上にありました]


<補足&感想等>


上記の内容は、現代においてはどれも当たり前になってきていますね。

まずは腸内細菌についてです。

・ヒトの腸内には100種類近い細菌がいて、その数は100兆以上存在する。
(健康な成人の糞便1g当たり、3000~5000億個の細菌がいます。糞便の1/4くらいは細菌だとか)

・空気に触れると直ぐに死滅してしまうものから、一気に増殖するものがいる。


次にその周辺の話。

・唾液は1ml当たり10の7乗の細菌がいる。

・腸内細菌は口から感染する。感染源は母親の膣、産後の空気中や介助者の手指など。
 (P70 母親の膣には沢山の細菌が住んでいるが妊娠末期になると乳酸桿菌がほとんど純培養の状態で増殖している)

・離乳期は腸内細菌叢の大きな変換期。

・ヒトの腸管の乳酸菌と他の動物の腸管の乳酸菌は種類が違う。

・ヒトの腸管の乳酸桿菌と食品の乳酸桿菌も種類が違う。

P99 ヒトや動物のからだに侵入してきた乳酸菌のうち、腸内に住みつくことができるのは、長い進化の過程でその動物に適応した特定の菌種、菌型だけで、そのほかの菌は住みつくことができない・・・このことは乳酸菌を外から与えて腸内にうえつけようという考えでつくる乳酸菌製剤や乳酸菌飲料の場合よく注意しなければならない…。

 「腸まで届く」という言葉を宣伝文句に使っている商品がありますが、それの何が優れているのかを説明している商品はないのではないでしょうか?よくないですね・・・。


その他、興味深かった研究・情報です。

“抗生物質投与によって正常腸内菌叢の一部が減少し、外来菌による感染が容易になる”
これはハツカネズミの話です。普段は10の6乗の菌がいないと感染しないのが、10個以下で約50%のネズミで感染が見られたと・・・。この差は凄いですね。これはヒトでも同様だと思います。安易な薬の服用は避けましょう!!


P128 パプア族の食事の96.4%はサツマイモであって、蛋白質の摂取は10~15g相当であるにも関わらず、糞便と尿から排泄される総窒素量はこの約2倍になる。

栄養学は、始まりからずっと「身体を構成するタンパク質の必要量を摂取することが大切」としてきました。このため、タンパク質を食物として摂らなければ生きていけないと考えており、こうしてタンパク質が大きく強調されてきました。

つまりこれは栄養学の根本に大きく影響する「事実」なのです。
残念ながら、現代では何処まで解明されたのかわかりませんでしたが、腸内細菌が空気中の窒素からタンパク質を合成しているのではないかと考えられているようです。
面白いことにこれが可能となると、【仙人が朝露を食べて生きる】というおとぎ話が現実のものとなるのです!!

このような不食についてはまたいつか取り上げたいと思います。





<キーワード>
腸内細菌 ビフィズス菌 細菌分類

<関連文献>
『日本の長寿村・短命村―緑黄野菜・海藻・大豆の食習慣が決める』(サンロード出版) 『腸!いい話』(朝日新聞出版) 『大便通 知っているようで知らない大腸・便・腸内細菌』(幻冬舎)






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