養生ブログ by食医の卵

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『獄中記』

No.139
著者 佐藤優

2014年10月末に読みました。

ハード500頁もある分厚い本です。ただ読んでいて飽きず、むしろゆっくり内容を確認しながら読みたいという気持ちに駆られました。そのくらい内容に吸い込まれる本でした。

著者は元外交官、今は“作家”か“評論家”という肩書きで紹介されています。

今回はこの本を読んで感じたことを徒然と書いてみたいと思います。


<著者の主張>

・国策調査とは、政治事件を作り出していくものである。はじめに事件ありきではなく、特定の人物を断罪することを想定(目的と)して捜査が始まる。

・断罪は政治の節目・転換として政治を進めていくための通過儀礼である。このためある種の必然性がある。また、ゆえにターゲットは政治家、官僚、経済人であり、国民一般ではない。

・国益のためにリスクを負って仕事をした人間が国策調査の対象となり失脚させられるのであれば、誰もが自己保身に走るため、結局国益が毀損される。




<感想>

著者が逮捕されたのが2002年5月14日、保釈されたのが2003年10月8日、この本が出版されたのが2006年12月です。

著者は自分たちが国策調査のターゲットになった路線変更をこう説明しています。

小泉政権になり、
①公平分配から傾斜分配(ハイエク型自由主義モデル)へ進んだ。
②国際協調的愛国主義から自国中心的ナショナリズム(ヘーゲル型有機体モデル)へと変わっていった。


著者らは前者側だったということです。

私個人としては、その後、民主党政権が誕生し再び前者の方へベクトルが傾いた。しかし再び後者へと戻っていったと解釈すると現状がしっくりきます。

そして本に書かれているとおり、国内の経済格差は広がっています。
興味深いのは、「ハイエク型自由主義モデルとヘーゲル型有機体モデルは本来両立しえない」ため、どう結末を辿るのか
ということです。

このような書き方をすると、自国の自分にも関わることなのに随分と第三者的な視点だと感じる方もおられるかもしれません。

ただこれもこの本からの学びであります。
P167 知識人というのは、自己の利害関係がどのようなものであるかを認識した上で、・・・自己の置かれた状況をできるだけ突き放してみることのできる人間だと考えています。

知識人としてはまだまだですが、そうありたいと思います。同様に、「思考する世論」でありたいと思います。


著者は獄中で約250冊の本を読んだといいます。こうして法廷に備えるとともに上記の国策調査についての考えをまとめたわけですが、紹介されていた著者の中で私が一番興味を持ったのは、ハーバーマスですね。
いずれ私自身も勉強したいと思いました。


最後に、私は佐藤氏の本を今回初めて読んだわけですが、一気に佐藤氏の魅力に引き込まれてしまいました。なんといってもその知識の量に感銘を受けました。ただ、最も魅力を感じるのはそこではなく、職業人としての姿勢(P500辺り)と基本的メンタリティーが宗教人(P432)という点だと思います。

私も自分の基本的メンタリティーは、管理栄養士、科学者、研究者、よりも宗教人、哲学者の方が近い気がします(笑)



<キーワード>
国策調査 断罪 政治

<関連文献>
『認識と関心』(未来社) 『コミュニケイション的行為の理論』(未来社) 『精神現象学(上)(下)』(平凡社) 



(※文庫本では無くハードカバーを読んだため、この記事の頁はそちらのものとなります。)


役に立ちましたらお願いします。

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